「これってうちの会社だけ?」「他社は何か工夫してる?」
他社の状況を知れば、自社の改善ポイントが見えてくる。
このコーナーでは、『職場の居心地』に関連する身近なテーマでウェブ調査を行い、
その結果をレポートしていきます。
皆さんの職場では、「部門間コミュニケーション」がどのくらい活発に行われていますか?
スムーズに業務を行う上で他部門との連携が重要であることはわかっていても、実際には交流の機会を持てていない……という方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、デスクワークが中心の会社員・公務員500名を対象に「部門間コミュニケーションが充分に取れているか」を尋ねるアンケート調査を実施。併せて、「社内コミュニケーション促進施策」の実施状況と、部門間コミュニケーションの満足度に関連があるかなどを調べました。
【調査結果サマリー】
■仕事を行う上で、「部門間との連携」が重要だと思う人は81.4%。
■日頃からの「部門間コミュニケーション」が重要だと思う人は85.4%いるが、実際にできていると回答した人は48.0%に留まる。
■社内コミュニケーション促進のために行っていることとして、最も多かった回答は「何も行っていない」、次いで「業務時間外の飲み会や懇親会」。
■部門間コミュニケーションが「できている」という回答が最も多かったのは、「社内カフェやラウンジの設置」を行っている職場。
[アンケート実施情報]
方法:インターネット調査
回収日: 2023年10月17日
対象:日本全国のデスクワークが中心の会社員・公務員(フルリモートワークを除く)
サンプル数:500人
Q1. あなたは、仕事を行う上で、「他部門との連携」は重要だと思いますか。
はじめに、仕事を行う上での部門間連携の重要性について質問したところ、「重要」「どちらかというと重要」の合計が81.4%と大きな割合を占めました。
Q2. スムーズに仕事を進めるにあたって、日頃からの「部門間コミュニケーション」は重要だと思いますか。また、実際に「部門間コミュニケーション」が充分に取れていると思いますか。
次に、コミュニケーション面について尋ねたところ、「部門間コミュニケーションは重要だと思う」と回答した人は85.4%と大多数を占める結果となりました。一方で、「部門間コミュニケーションを充分に取れている」と回答した人は48.0%と、半数以下に留まりました。
業務面とコミュニケーション面のどちらにおいても、多くの人が「他部門とのかかわり」を重要なものだと考えている一方で、実際に「充分なコミュニケーションを取れている」と感じている人は半数に満たないことがわかりました。
Q3. あなたの職場では、社内コミュニケーション促進のためどのような取り組みを行っていますか。
続いて、職場で行われている施策を把握するため、「コミュニケーション促進のためにどのような取り組みを行っているか」と複数回答で尋ねました。回答者本人が社内コミュニケーション促進のための取り組みであると認識していない可能性を考慮し、「コミュニケーション促進を目的としていなくても、社内で行っている施策には全てチェックを入れてください」と注記しました。
結果は「何も行っていない」が39%で最も高く、次いで「業務時間外の飲み会や懇親会」、「社内報(WEB/紙)などの発行」と続きました。
4割近くの回答者が「何も行っていない」という回答でした。それ以外の回答は票が分散しており、大きな開きはありませんでしたが、コロナ禍が収まり「業務時間外の飲み会や懇親会」が戻ってきた企業が多いと予想できます。
次は、上記の取り組みの実施状況と、Q2の「部門間コミュニケーションが充分に取れていると思うか」の回答との関係を調べます。
【クロス集計】「職場で行われている社内コミュニケーション促進の取り組み」×「部門間コミュニケーションが充分に取れていると思うか」
社内コミュニケーション促進施策が部門間コミュニケーションに与える影響を調べるため、Q2で質問した「部門間コミュニケーションが充分に取れていると思うか」とのクロス集計を行ったところ、「充分に取れている」「どちらかというと取れている」の合計値(青色部分)が高かった上位3つは、「社内カフェやラウンジの設置」(69.6%)、「業務時間内に行う交流イベントの実施」(67.8%)、「レイアウト変更(仕切りをなくす、打ち合わせスペースを増やすなど)」(62.2%)でした。
「何も行っていない」を選択した人は、他と比べて「部門間コミュニケーションが充分に取れている」と感じる割合が低いことがわかりました。 また、Q3で順位の高かった「社内報(WEB/紙)などの発行」はここでは順位が低くなっています。ただし、「何も行っていない」との差が開いているところを見ても効果は出ており、この取り組み単体で部門間コミュニケーションに直接発展させることは難しくとも、他の施策と組み合わせることで効果を発揮すると考えられます。
Q4. 充分な部門間コミュニケーションを取れていない理由は何だと思いますか。(フリー回答)
続いて、何らかの社内コミュニケーション促進の取り組みを行っているにもかかわらず、部門間コミュニケーションを充分に「取れていない」「どちらかというと取れていない」と回答した人を対象に理由を尋ねました。
■リアル(対面)で会う機会が減少しているから
「在宅勤務中心となり、コミュニケーションが取りにくくなっているため」
「テレワーク、フルフレックス導入によるリアルコミュニケーション機会の低下」
「コミュニケーションは対面での会話が重要と言いつつも、コロナ以降、働き方改革という名の元に在宅勤務を継続的に行なっているため、対面の機会がかなり減っている中で、たまにしか話さない人との会話をweb上でどのように切り出すのか、どのように連絡するのか、なかなか難しいのが大きな要因と考える」
■業務が忙しく時間が取れないから
「タスクが多く、自分のことで精一杯で何も余裕がない」
「業務が忙しくコミュニケーションをとる時間の余裕がないから」
■スペースがないから
「交流するようなスペースがない」
■組織や業務内容によって生じる隔たりがあるから
「やはり組織の壁と言うのが存在しており、無意識のうちに行動に出ていると思われます」
「経理という業務上、難しい時があるから」
■フリーアドレス制の導入企業、未導入企業それぞれの課題
「いろいろな部屋にフリーアドレススペースがあるため、相手がどこで仕事をしているのか把握しづらく、なかなか会えないから」
「フリーアドレス制ではないので、部内の決まった人としか話す機会がない。懇親会があっても年に1回程度で結局知っている人としか話さないから」
■現行の施策に加えて「もう一歩進んだ取り組み」が必要という意見
「社内報配布(実質定期刊行化している)と、担当者間限定でのやり取り(zoom利用等)以外が無い。 プラス、物理的な距離も離れている」
「おやつやお菓子を配布するだけでは十分とは言えない。もう一歩の何かが必要と感じます」
「その場限りの会話になってしまうから」
「休憩スペースやビールサーバーなどはあるが、狭い。懇親会はあるが少ない」
フリーアドレス制について、導入企業と未導入企業、両方からの声が寄せられ印象的でした。フリーアドレス制を導入する際には、「誰がどこにいるか」を見える化するための仕組みや運用方法とセットで検討する必要がありそうです。 また、現行の施策に加えて「もう一歩進んだ取り組みが必要」という意見も多く集まりました。施策を導入するだけではなく、どう活用すれば良いかを従業員に示すことが重要と考えられます。
Q5. 部門間コミュニケーション促進の施策の中で、特に良かったと感じるものを教えてください。(フリー回答)
続いて、部門間コミュニケーションを充分に「取れている」「どちらかというと取れている」と回答した人を対象に、特に良かったと感じる取り組みを尋ねました。
■ラウンジやカフェスペースの設置
「フリーラウンジ。普段仕事上であまり付き合いのない人とも面識ができる」
「社内に気軽に集まれるOPEN SPACEを設けて(コーヒー等自由に飲める)社員が自由に会話ができる機会を作っている。直接関係を持たない部門や見知らぬ社員との交流の機会ともなり、社内コミュニケーションの促進が出来ている」
■フリーアドレス
「フリーアドレス制の採用など」
■業務時間外の飲み会やイベント
「飲みにケーションを定期的に実施する!!」
「ボーリング大会などのレクリエーションを多く開催している」
■おやつを活用
「アイスブレイク。みんなで休憩中にアイスを食べてコミュニケーションをはかる」
「おやつの時間を作ってプライベートの話をする」
■業務に絡めた施策
「業務の一環として社内で各部署によるプレゼンテーションコンテストが行われている」
「部を横断して募集、実施する新規プロジェクト。複数用意され、上手く行かなかったものもあるが、多様な視点が生かされて成功したものも出た」
業務時間内、業務時間外問わず、多様な取り組みを教えていただきました。クロス集計の結果では「業務時間外の飲み会や懇親会」は低い順位となっていましたが、良かったと感じる取り組みをフリー回答で尋ねると、「飲み会」や「忘年会」「ボーリング」「カラオケ」といった回答が多く見受けられました。具体的でわかりやすい施策として印象に残りやすいのかもしれませんね。
まとめ
アンケートの結果から、日頃からの「部門間コミュニケーション」が重要だと考えている人が85.4%いる一方で、実際にできていると回答した人は48.0%に留まっていることがわかりました。
また、社内コミュニケーション促進施策の実施状況と、部門間コミュニケーションの関係を調べたところ、部門間コミュニケーションを「できている」と回答する割合が高かった施策上位3つは「社内カフェやラウンジの設置」、「業務時間内に行う交流イベントの実施」、「レイアウト変更(仕切りをなくす、打ち合わせスペースを増やすなど)」でした。業務時間内にオフィスの中でできる取り組みや、オフィス環境自体を変えることが、部門間コミュニケーションの促進に繋がりそうです。
【引用について】
「プラス『職場の居心地WEB調査』より引用」などと明記いただければ貴社媒体や社内資料等に引用いただいて構いません。
【お役立ち資料】職場コミュニケーションヒントブック
職場コミュニケーションの研究者である二瓶哲氏の監修のもと、「オフィスでコミュニケーションを取る意義」をいま一度学べるヒントブックです。
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是非ご活用ください。
今回のテーマは……
【部門間コミュニケーション、取れていますか?】