いまやパソコンは仕事をするうえで欠かせないアイテムのひとつですが、パソコンを使うには、電源コードやLANケーブルなどさまざまな配線が必要です。これに加えてオフィスには電話やOA機器などの配線もあるため、足元はコードやケーブルだらけになっていることも多いのではないでしょうか? そのような場合にコードやケーブルを整理し、すっきりとしたオフィスを実現するのが、OAフロアです。今回はOAフロアの種類や選び方、施工時の注意点をお伝えします。
OAフロアの種類
OAフロアとは、コードやケーブルを収納するために設置される二重構造の床で、フリーアクセスフロアや二重床とも呼ばれています。OAフロアの種類には「置敷式簡易OAフロア」と「置敷式溝配線OAフロア」「床高調整式フロア」の3種類があります。
置敷式簡易OAフロア
主に樹脂やプラスチックで作られたパネルに支柱(固定脚)がついているタイプです。コードやケーブルは本来のオフィスの床とパネルの間にできる空洞部分に収納します。
置敷式溝配線OAフロア
パネルに支柱(固定脚)がついていないタイプです。コードやケーブルは、パネルに刻まれている溝部分にはわせ、上からカバーをかける形で収納します。素材は、樹脂製や樹脂+コンクリート製のものが多いようです。
床高調整式フロア
主にスチールで作られたパネルに支柱がついているタイプです。置敷式簡易OAフロア同様、オフィスの床とパネルの間にできる空洞部分にコードやケーブルを収納します。
OAフロアの選び方
自社のオフィスをOAフロアにする際、「置敷式簡易OAフロア」「置敷式溝配線OAフロア」「床高調整式OAフロア」からどのタイプを選択すればよいのでしょうか。ここでは、選択する際に知っておくべき3つのOAフロアそれぞれのメリットとデメリット、そしてどのようなオフィスに合うのかを紹介します。
置敷式簡易OAフロアのメリット・デメリット・フロア適性
置敷式簡易OAフロアのメリット
- 軽量でオフィスへの負担が少ない
置敷式簡易OAフロアは樹脂やプラスチックといった軽量素材で作られているため、設置してもオフィスの床が沈んでしまうといった負担はかかりません。 - 価格が安く施工も比較的短期間で行える
簡易式という名がついているとおり、短期間での設置が可能なため、長期間にわたって業務を中断する、別の場所で業務を行うといった業務への影響が少ないのも大きなメリットです。 - 多くのコード、ケーブルを収納できる
オフィスの床とパネルまでの部分が空洞になっているので、ほかのタイプに比べ多くのコード、ケーブルを収納できます。
置敷式簡易OAフロアのデメリット
- 耐久性や耐燃焼性に課題がある
素材的に耐久性や耐燃焼性には若干の不安が残ります。 - 支柱(固定脚)の高さ調節ができない
支柱(固定脚)の高さは一定になっているため、天井の高さに合わせて調節することはできません。 - オフィス床の形状によっては設置できない場合もある
オフィスの床に凹凸があったり、段差が多かったりするオフィスでは支柱(固定脚)を固定できず設置できない場合もあります。 - 配線のやり直しが困難
コードやケーブルの収納量は多いものの、空洞に無造作に収納するタイプのため、最初の段階で整理しておかないと途中で配線のやり直しをするのにかなりの手間を要します。
置敷式簡易OAフロアのフロア適性
一般に、置敷式簡易OAフロアは3種類のなかで最も価格が安く、短い施工期間で設置できますが、耐荷重や耐久性はそれほど高くありません。また、配線のやり直しが困難なため、小規模かつ頻繁にレイアウト変更をしないオフィスにおすすめです。
置敷式溝配線OAフロアのメリット・デメリット・フロア適性
置敷式溝配線OAフロアのメリット
- 置敷式簡易OAフロアに比べ耐久性が高い
- 支柱(固定脚)がないため、歩行時に違和感がほとんどない
- 溝にコードやケーブルをはわせるため、配線のやり直しが簡単
置敷式溝配線OAフロアのデメリット
- 置敷式簡易OAフロアに比べ価格が高価
- 床の高さ調節はできない
- 溝の数が決まっているため、配線容量は少ない
置敷式溝配線OAフロアのフロア適性
溝配線タイプは耐荷重があるため、ある程度の人数がいるオフィスでも対応可能です。ただし、コードやケーブルを収納できる容量はそれほど多くないため、中規模オフィスに適しています。
床高調整式OAフロアのメリット・デメリット・フロア適性
床高調整式OAフロアのメリット
- 支柱の高さ調節が可能
一定の間隔で支柱の高さ調節が可能です。天井の高さにもよりますが、途中から収納量が増えても対応しやすいタイプだと言えます。 - 耐久性、耐荷重、耐燃焼性が高い
床高調節式の素材は、高強度コンクリートのため、耐久性、耐荷重、耐燃焼性に優れています。 - 3種類のなかで最も配線容量が多い
置敷式簡易OAフロア同様、オフィスの床とパネルの間が空洞になっているうえ、高さ調節もできるため、3種類のなかで最も多くの配線を収納することが可能です。
床高調整式OAフロアのデメリット
- 3種類のなかで最も価格が高い
素材はもちろん、作りもしっかりしているため、一般に、ほかのタイプに比べ高額です。 - 設置できないフロアもある
床高調節式OAフロアは、支柱をビスで固定するため、フロアによっては設置できない場合もあります。 - 3種類のなかで施工期間が最も長くかかる
施工期間も長くかかるため、場合によっては、別のオフィスを借りなくてはならないでしょう。
床高調整式OAフロアのフロア適性
床高調整式OAフロアは、価格は高価ですが、配線容量が多く、耐久性が高く耐荷重もあるため、大規模オフィスやサーバールームなどに適しています。
OAフロアの施工について、詳しくは『OAフロアの施工にかかる期間、費用目安は?施工の流れや自社に合ったOAフロアを選択するポイント』の記事をご覧ください。
OAフロアを選択する際の注意点
OAフロアを設置する際、気をつけるべき主な点は、「天井の高さを考慮する」「レイアウト変更が多いかどうかを考慮する」の2点です。それぞれの理由について簡単に解説します。
天井の高さを考慮して選択する
「置敷式簡易OAフロア」「床高調整式OAフロア」など、支柱がついているタイプを選択する際は、天井の高さも考えたうえで選択しましょう。OAフロアを設置して床高が上がると、天井との距離が短くなるため、圧迫感が出てしまい、業務に影響を与える場合もあります。
レイアウト変更が多いかどうかを考慮して選択する
「置敷式簡易OAフロア」「床高調整式OAフロア」は、配線容量は多いものの、レイアウト変更をする際は、毎回、パネルを外して配線を組み直さなくてはなりません。そのため、頻繁にレイアウト変更を行うオフィスであれば、カバーを外すだけで組み直しができる置敷式溝配線OAフロアがおすすめです。
OAフロアの高さについて、詳しくは『OAフロアを設置する際に確認すべき高さとは?自社に合った高さを選ぶ方法』の記事をご覧ください。
オフィスの特徴や業務形態によって適切なOAフロアの選択を
OAフロアを選択する際のポイントは、自分たちのオフィスの特徴や業務形態を改めて確認するということです。天井が低い、傾斜があるオフィスでは、設置できるOAフロアの種類も限られてしまいます。
また、頻繁にレイアウト変更がある、社員の入れ替わりが多いオフィスでは、そのたびに配線の組み換えが必要になるため、「置敷式簡易OAフロア」「床高調整式OAフロア」では効率がよくありません。目的やオフィス環境を考慮したうえで、自社にとって最適なOAフロアを選択しましょう。
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