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従業員が自由に自分の席を決められるフリーアドレスは、社内コミュニケーションの促進や生産性向上の効果が期待できるとされています。実際に、この方式を導入する企業も増えており、商品開発や業務の効率化に役立っている事例もあります。しかしオフィスでフリーアドレスを導入する際には、自社がフリーアドレスに適しているのか、どのような環境づくりが必要なのかをまず見極めることが重要です。ここでは、フリーアドレスが求められる背景や導入事例、導入の手順、期待できる効果を紹介します。

オフィスでフリーアドレスが求められる背景

オフィスでフリーアドレスが求められるようになった背景には、主に3つの要因があると考えられます。

新しいアイデアが求められる時代

「モノが売れない時代」といわれている現代、消費者はこれまでとは違ったサービスや商品を求めるようになりました。良質で安価なモノが増えるなか、一般的な基準を満たしただけのモノは選ばれなくなってきているのです。企業がモノを売り続けるためには、新しい価値を生まなければなりません。そのため、従業員にもマニュアルどおりの作業ではなく、新しいアイデアの構築が必要な「ナレッジワーク」が求められています。 ナレッジワークとは知的労働のことで、知識やスキルを駆使して新しいモノを生み出すような創造的な仕事を意味します。ナレッジワークを行う従業員が新しいアイデアを生み出せる環境づくりの一例として、フリーアドレスが注目されるようになりました。フリーアドレスを導入すると、毎日違う環境で働けるようになり発想が豊かになると考えられています。 例えば、フリーアドレスでは、これまで同じ空間で仕事をすることがなかった部署の人と隣り合った席で仕事をする機会ができます。他部署の人とのちょっとした会話のなかから、新たな発想が生まれる可能性があるのです。また、従業員の業務内容に合わせて働く環境を設定することもできます。集中力を要する作業に対しては静かな環境を用意することで、知的な仕事がしやすくなるのです。

ワークスタイルの変化

近年、テレワークや時短勤務などの導入が進められ、人によってワークスタイルが異なることも多くなりました。フリーアドレスでは、常時決まった席で仕事をするわけではないので、従業員がそれぞれ異なるワークスタイルを持っていても対応しやすくなります。例えば、普段はテレワークで出社しない人も、出社時だけ席を利用できます。また、時短勤務の人も出退社時に先輩や上司の在席状況を気にする必要がありません。フリーアドレスはより働きやすい環境づくりの一環としても注目されているのです。

IT技術の活用による環境の変化

ノートパソコンやスマートフォン、Wi-FiといったIT環境が整ったことも、フリーアドレス化しやすくなった要因の一つです。情報をデジタルデータとして作成・保存することが増え、従来に比べて紙でのやり取りや保存も少なくなってきたため、多くの業務は固定席で行う必要がなくなったのです。

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フリーアドレスに適した企業・導入しづらい企業の特徴

フリーアドレスはどのような企業、部署でも導入できるわけではありません。どのような企業に適していて、どのような企業に導入しづらいのかを解説します。

フリーアドレスに適した企業とは?

フリーアドレスは基本的に人の移動が多い企業に向いています。たとえば、以下のような企業なら導入しやすいでしょう。

新しいワークスタイルを取り入れている

リモートワークや時短勤務など、すでに新しいワークスタイルを取り入れている企業は、フリーアドレスの導入が向いています。曜日や時間帯によって在席率に変化があってもフリーアドレスなら対応しやすいためです。

離席している人が多い

営業部門のように日中外回りで離席する人が多い職場や、学校や塾のように授業中は離席が多い職場にもフリーアドレスの導入が向いています。

>他部署との連携が必要な業務が多い

商品開発や企画など、他部署との連携が必要な業務や部署が多い企業にもフリーアドレスが適しています。フリーアドレスはチーム編成に合わせて席を変えられるため、ミーティングや打ち合わせがしやすくなるからです。ミーティングのたびに会議室を予約する必要もなくなり、業務が効率的に進められるようになります。また、他部署の人とのコミュニケーションも取りやすくなり、新しいアイデアが生まれるきっかけにもなるでしょう。 このようにフリーアドレスは、人の移動が多い、あるいは柔軟性のある働き方を求める企業に適していると言えます。

フリーアドレスを導入しづらい企業

一方で、フリーアドレスが導入しづらい企業もあります。

従業員の在席率が高い

フリーアドレスを導入しづらいのは、自席に座って行う仕事が多く、従業員の在席率が高い部署や職種です。受付や秘書室、総務部などのように決まった席にいたほうが仕事をしやすい部署などがあてはまります。

機密文書や個人情報を扱う

人事部や法務部、経理部などのように、機密文書を扱うような部署でも導入は難しいでしょう。個人情報の取り扱いが多い職種にも不向きといえます。

従来の企業文化が残っている

従来の企業文化が残っている職場では、フリーアドレスの導入に大きな労力がかかる可能性があります。たとえば、新しいワークスタイルに対する拒否反応が強い企業や紙の書類が多い企業、IT機器を取り扱える従業員が少ない企業などは導入に時間がかかるでしょう。 どの企業でもフリーアドレスの導入が難しい部署や職種はあります。しかし、フリーアドレスは必ずしも全社一斉に行う必要はありません。まずは、導入しやすい部署から始めることも可能です。フリーアドレスの導入は無理だと決めつけるのではなく、柔軟に対応することが大切なのです。

フリーアドレスの導入で期待できる効果・事例

フリーアドレスの導入が新商品の開発につながった、あるいは業務の効率化を実現できた企業があります。フリーアドレスの導入によって、どのような効果が期待できるのかを、一部事例を交えながら解説します。

他部門の社員と連携しやすくなる

従来のように席を固定する方式には、他部門との連携がとりづらいという欠点がありました。同じ会社の従業員でも部署が違うと、ほとんど会話をする機会が持てなかったのです。しかし、フリーアドレスを導入すると、これまで会話が持てなかった他部署の人とも一緒に仕事をする環境が生まれます。 ある食品会社大手のA社では、フリーアドレスを導入したことで、新しい商品を開発するまでの期間短縮につなげることができました。開発チームと加工チームが同じ空間で働いているため、相談や打ち合わせがしやすくなったのです。フリーアドレスの導入により連携がスムーズになり成功につながった事例といえます。

仕事が効率的に進む

フリーアドレスでは業務内容に合わせて席を移動できるため、仕事が効率的に進むという効果も期待できます。従来のオフィスでは、仕事に集中したいときでも、電話に出たり来客対応をしたりといった業務もこなす必要がありました。そのため肝心の仕事が進まず、結局残業で対応することもよくあるようです。しかしフリーアドレスなら、仕事に集中したいときには集中ブースやソロ席を選ぶことができます。 ある食品会社大手のB社でもフリーアドレスの導入を進めてきました。「打ち合わせをしたいときはコミュニケーション用の席」「ひとりで作業に集中したいときはソロ席」など、業務によって席を選べるようにしました。ソロ席を選べば電話などに邪魔されることがなくなり、作業を効率的に進めることができるようになったのです。

オフィスの省スペース化が実現できる

フリーアドレスを導入すればメンバー全員の席を用意しておく必要がなくなり、オフィスの省スペース化が実現可能になります。その分、ほかのスペースとして利用する、あるいはゆとりのあるリラックススペースにすることができます。オフィスにゆとりが生まれると、働く環境の改善にもつながるでしょう。また、人員の増減があってもフリーアドレスなら柔軟に対応できます。急に業務量が増えて人員が必要になった場合でも、オフィスを移転することなく人を増やせるのです。

オフィスの環境美化につながる

働く環境を改善するために、オフィスの環境美化に努める企業も増えています。フリーアドレスなら毎日同じ席を使うわけではないので、退席時には必ずデスク上を片付けなければなりません。また、ペーパーレス化により紙の書類が散乱することも抑えられます。そのため、オフィスの環境美化を実現しやすいのです。オフィス内がきれいに整理されていれば作業がしやすくなり、業務の効率化や生産性の向上にもつながります。

フリーアドレスを導入したオフィスデザイン事例集

オフィスでフリーアドレスを進めるための手順

フリーアドレスの導入を進めるには事前準備が必要です。社内の状況を見極めたうえで、必要な設備を整えていきましょう。ここでは、フリーアドレス導入の手順を説明します。

社内の状況を見極める

まずはアンケートなどで従業員の働き方、座席の稼働率、部署ごとの業務内容などを把握し、フリーアドレスの導入が適切かを見極めましょう。導入が難しい場合は部分的に導入することも可能です。たとえば、フリーアドレスを導入しやすい営業部門から始め、徐々に他部署まで拡大していくこともできます。

設備を整える

ノートパソコン、デスク、配線など、フリーアドレス導入に必要な設備を整えます。デスクは業務の内容に応じて選べるように、複数人で使うタイプとひとりで利用できるタイプを用意するとよいでしょう。また、コミュニケーションがとりやすいように、ミーティング席を設けるのもおすすめです。

従業員に周知する

オフィスに新しいシステムを導入する際、なかなか従業員の理解が得られないこともあります。そのため、事前にフリーアドレス運用にあたっての注意事項や、具体的な方法などを従業員に周知することが大切です。特に、席を決める際のルールは、座る席が固定化してしまうことを防ぐためにも必要です。あらかじめルールを周知し、従業員の理解を得ておきましょう。

従業員の働きやすさに配慮する

フリーアドレスの導入に失敗する原因の一つとして、上述の「席の固定化」が挙げられます。ルールが徹底されず、毎日同じ席に座る人が多くなってしまうと、フリーアドレスのメリットが得られなくなってしまいます。これを防ぐためにルールを策定・周知するとよいのですが、ルール厳守にこだわりすぎると、従業員の働きやすさを奪ってしまう可能性もあります。従業員の様子を見ながら必要に応じて既存のルールを柔軟に運用する、あるいは新しいルールを策定するなどフレキシブルに対応しましょう。

フリーアドレスの導入が適切か見極めが大切

フリーアドレスを導入した企業では、商品開発の期間短縮や業務の効率化などの効果が出ています。新しいアイデアを生み出すには、フリーアドレスによるオフィス改革を取り入れるのもひとつの方法です。従来とはまったく異なるオフィス環境に変わることで、従業員の働き方にも大きな変化が期待できます。まずは、フリーアドレスの導入が自社に適しているのか見極めたうえで、オフィス環境の整備や運用方法策定などの準備を進めていきましょう。

【お役立ち資料】

フリーアドレス導入前のポイントを説明 フリーアドレス導入ガイド 在宅勤務の広がりなどで働く場が広がり、オフィスのフリーアドレス導入も増えています。フリーアドレスを導入する際、メリット、デメリットを把握した上でどのような点に注意したらよいのか、ポイントについてご説明します。 フリーアドレスの導入を検討されている方はぜひご覧ください。 フリーアドレス導入ガイドダウンロードページへ 【関連ページ】 フリーアドレスのメリットとデメリット、導入のポイント
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