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先の北海道胆振東部地震では、北海道で初めて震度7を計測し、各地に大きな被害をもたらしました。また、同年の夏には台風や強風による被害も各地で多発したように、日本全国、自然災害はいつどこで起こっても不思議ではありません。そのため、企業における防災対策は資産を守ることはもちろん、社員の安全を守るためにも行う必要があるでしょう。また、単に資産や人材を守るということだけではなく、防犯対策がなされていない企業は、安全配慮義務違反を問われるリスクもあります。そこで今回は、オフィスの防災対策の重要性と具体的な対策方法についてご説明します。

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オフィスで防災対策を行わないリスク

いつどこで大地震が起きても不思議ではないとわかっていても、そのときに直面しないとどうしても後回しにされがちな防災対策。もちろんいざというときが来てからでは遅いのですが、それでも業務が優先となってしまい、人手や時間不足を理由に防災対策を行っていない企業も少なくありません。しかし、冒頭でも触れたように、台風や大雨、大震災といった自然災害が起きれば、企業の資産や人材などすべてを失ってしまうことも十分にあり得るでしょう。

また、防災対策を行っているから問題ないということでもありません。自家発電や防災設備のメンテナンスを定期的に行わないと、災害に直面したときにまったく機能しないことも起こり得るでしょう。備蓄食材も賞味期限を過ぎてしまっていては何の役にも立ちません。防災対策を立て、定期的にメンテナンスを行うことで初めて、いざというときに資産や人材を守ってくれるのです。

そしてオフィスの防災対策は、時間や人手が足りないからできないでは通りません。企業は従業員が安心して働くことができるよう、安全に配慮する義務があります。これは労働契約法第5条で定められており、もし違反があると認められれば不法行為による損害賠償を求められることもあります。つまり、企業は防災対策を行わないことで資産や人材を失ううえに、場合によっては数千万~数億円という損害賠償が発生するリスクもあるのです。

オフィスでの防災対策1・ハード面

オフィスでの防災対策はハード面、ソフト面の両面から考える必要があります。まず、ハード面で考えるべきは、避難経路を考慮したレイアウトと棚やロッカーなどオフィス家具の選択、配置です。通路に荷物を置かないことはもちろん、非常口につながる通路沿いには、転倒しやすい家具や落下・移動の危険があるものを置くことは厳禁です。

防災対策の観点から、オフィス家具はできるだけ背が低いものを選択するといいでしょう。パーティションも背の高いものは避け、動かないように床に固定するのがベストです。棚はいざというときに引き出しが外れたり、開いて中身が散乱したりすることがないようにラッチ機構、ロック機能付きのものを選択するといいですね。

ほかにも、以下のような対策が効果的です。

  • ガラスに飛散防止シートを貼る
  • テーブルやデスクは身を隠せる丈夫なものを選ぶ
  • 防災用品は取り出しやすい場所に置く
  • 大型家具やコピー機、金庫などは執務スペースとは別の場所に配置し、キャスター付きのものは必ずロックする

オフィスでの防災対策2・ソフト面

次にソフト面での防災対策です。ソフト面で特に重要な対策は、データの保護でしょう。バックアップを定期的に取ることはもちろんですが、バックアップ先が同じ社内では万が一の際にリスクがあります。本社とは別の事業所や営業所にデータサーバーを設置する、レンタルサーバを利用するなど、データを分散したうえで保管するようにします。
また、震災が起きた際、誰の指示に従い、どこに逃げて、どこで集合するといった危機管理マニュアルを作成し、全社で共有することも重要です。

BCP対策

BCP対策という言葉をご存知でしょうか。BCPはBusiness Continuity Planningの略で、事業継続計画を表します。震災や台風以外にもテロや新型インフルエンザなどの感染症、経営幹部の突然の喪失といった事態が起きた際でも、重要事業を中断させないことであり、仮に中断してもできるだけ早く復旧させ、リスクを最低限に抑えるため、通常時から準備しておくための計画です。
内閣府がまとめた「平成29年度企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」で、BCP対策の策定状況が公開されています。これによると、平成29年度の企業規模別BCP策定状況は、大企業では64%ですが、中堅企業ではまだ31.8%。策定中を含めても46.5%と半分にも達していません。

ソフト面での防災対策は、BCP対策にも通じる部分でもあります。ハード面ばかりではなく、ソフトと両面で対策を行うことが、資産や人材を守るうえで重要なポイントとなるでしょう。

後回しにせず、早急な防災対策を

企業を経営するうえで、収益を上げることが優先事項のひとつであることは間違いありません。そのため、どうしても収益に直接つながらないオフィスの防災対策は後回しになりがちです。しかし、冒頭でも言及したように、地震、台風などの自然災害はいつどこで起きてもまったく不思議ではありません。そして防災対策が満足にできていない状況で災害が起きてしまえば、業務が滞ってしまうだけではなく、これまでの資産もすべて失ってしまうリスクも生じます。

オフィスの防災対策は今日、計画して明日に完了するような簡単なものではありません。もし、現段階で防災対策ができていない企業は、いざというときに後悔しないためにも、早急に対策を行うことをおすすめします。

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