従来、オフィス移転のお祝いといえば胡蝶蘭が定番でした。もちろん、現在でも胡蝶蘭を贈るケースは少なくありません。しかし、受け取る側も胡蝶蘭を望んでいるかといえば、少し状況は変わってきているようです。そこで今回はオフィス移転のお祝い品最新事情と、ハイブリッドワーク下においてお祝いを贈る際の注意点についてお伝えします。
贈り手と貰い手のニーズは大きくずれている
見た目が華やかで新たな出発に似合う胡蝶蘭はオフィス移転の贈り物として依然、人気の高い品です。株式会社マーウィが2021年3月に行ったアンケート調査、「リモート化したオフィスでもらって嬉しいお祝い花・もらって嬉しくないお祝い花」でも、51%がお祝い花として胡蝶蘭を贈っていると回答しています。
しかし、43%と半数近くが、もらって嬉しくないお祝い花としても胡蝶蘭と回答。この結果から、贈り手と貰い手でニーズに大きなずれが生じていることがわかります。
もらって嬉しくない理由について、もっとも多いのは、「水やりや処理に時間がかかるから(77%)」です。次いで、「大きくて置き場に困るから(41%)」「形骸化しているように感じるから(15%)」と続いています。
水やりや処理が大変という回答のなかには、新型コロナウイルス感染拡大の影響によるテレワークの普及でオフィスにいる人が減っているのも大きく影響しているでしょう。テレワークがひとつの働き方として定着しつつある今、オフィス移転のお祝いについても考え直す時期に来ているのではといえる調査結果です。
ハイブリッドワーク下におけるオフィス移転のお祝い品で注意すべきポイント
働き方の多様化により、オフィス移転のお祝い品も再考が求められるようになりつつあるなか、具体的にどのような点に注意が必要なのでしょう?
生花を贈ってもよいかどうかの確認をする
テレワークによりオフィスに出社する社員が減少したこともあり、生花はあまり喜ばれるお祝い品ではなくなりつつあるようです。それでも生花を贈りたい場合は、相手に贈ってもよいかどうかを確認しましょう。ただし、花は華やかな雰囲気を演出できるため、ブリザードフラワーは歓迎される傾向があります。移転祝いには花を贈りたい場合は、これらを検討されるとよいでしょう。
テレワークに適した品を贈る
移転祝いで人気の品として、自分たちで好きなものが買えるギフトカードが挙げられます。特にテレワークやオフィスワークで使える商品が多いAmazonギフトカードや百貨店のギフトカードはおすすめです。
移転理由を把握したうえで検討する
移転理由の把握はコロナ禍前でも注意点のひとつではありました。具体的には利益減による規模縮小での移転ではお祝いは贈らないのが一般的だからです。しかし、ハイブリッドワーク下によるテレワーク導入でオフィスに出社する人員が減少したことでの縮小は規模縮小とは限りません。そのため、移転理由は把握したうえで贈り物を検討するようにしましょう。
一般的なオフィス移転でお祝い品を贈る際のマナー
ハイブリッドワークの浸透によりオフィス移転のお祝い品について改めて考え直す機会とはなりますが、そもそも気をつけなくてはならない点、変わっていない点も少なくありません。そこでここではハイブリッドワークが浸透する前、そして現在においても変わっていないお祝い品を贈る際の基本的なマナーを説明します。
贈る時期
移転後、1カ月も過ぎてから移転祝いを贈るのは失礼にあたりますが、移転準備で忙しい移転前に贈るのもやはり失礼です。そのため、準備も整い、後は移転するだけの状態である移転前日から遅くても2週間以内に贈るのがよいでしょう。
熨斗紙や祝儀袋
移転祝いはギフトカードも喜ばれると説明しましたが、現金を贈っても失礼にはあたりません。ただし、現金を入れる際の熨斗紙や祝儀袋は、「花結びの水引」を使うのがマナーです。表書きには、「御祝」「御移転御祝」などが一般的で、その下に企業名もしくは代表取締役社長の名前を入れます。
送り先
当然ですが、送り先は移転前であれば前の住所、移転後であれば新しい住所に贈ります。送り先を間違えてしまうと、相手に手間をかけさせてしまうことになるため、どこへ届けるのかの確認は怠らないようにしましょう。
オフィス移転の贈り物は相手が喜ぶものを前提としての選択が重要
テレワークの増加で、常時出社する社員が減り、オフィス移転を行う企業も少なくありません。そのため、移転祝いの品を選択するうえでも、これまでの慣習にとらわれない柔軟な考え方が求められるようになっています。
今回紹介した株式会社マーウィの調査で、移転祝いに胡蝶蘭を贈る理由としてもっとも多かったのは、「慣習だから(43%)」。そして、「喜ばれると思うから(32%)」「特に理由はない(19%)」と続いています。
自分たちが受け取る側になった際は、嬉しくないと思いながら、贈る側になると喜ばれると思うが上位に入っている。この結果からも、これまではあまり相手の立場に立ったうえで贈り物を選択しなかったのではと予測できます。
そうした意味では、働き方の多様化が進んだことは、贈り物の基本である「相手が喜ぶものを贈る」を改めて認識できる良いきっかけになったのではないでしょうか。
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