【利用人数別】会議室の寸法
小規模会議室(4〜6人程度)
4〜6人が使用する会議室で、一般的に採用される対面形式のレイアウトを想定して寸法を見ていきます。
小規模な会議室に必要な面積は、4人用が約6㎡(約3m×2m)、6人用が約13.5㎡(約4.5m×3m)です。
この空間の中で、参加者1人あたりの座席幅は600〜700mm、奥行きは450〜600mm程度を確保しましょう。ただし肘つきチェアを使用する場合は、1人あたり横の幅を700〜800mmあればゆとりができます。
また動線となる通路のスペースは最低でも900mmを確保し、テーブルから壁面までの距離を取ることで圧迫感を軽減できます。
中規模会議室(10〜20人程度)
10名以上の利用が想定される会議室は、24〜30㎡程度の面積を確保しましょう。
レイアウトの選択肢も小規模な会議室よりも広がり、対面形式や島型形式、コの字・ロの字形式、スクール形式など選択可能です。
スクール形式を採用するなら、横方向には幅600〜800mmの通路スペースを確保し、縦方向には椅子を引きやすいように800mm程度のスペースを空けてテーブルを設置しましょう。
ただし近年では感染症に配慮し、さらに広めのスペースを確保することが増えてきています。
また、人数が多いため動線の確保も重要です。
壁と席の間には800mm程度の通路スペースを設け、避難通路としては1,000〜1,200mm程度の幅を設けましょう。
安全性を追求することで、快適性も確保された会議環境を構築できます。
大規模会議室(30人以上)
一度の使用人数が30人を超える大規模な会議室では、120㎡以上のスペースが必要です。
この規模になると大規模なイベントやプレゼンなどが主な用途となるため、スクール形式のレイアウトを取ることが一般的です。もしくは複数の島型デスクを置くことで、いくつかのチームが同時に会議できる環境も構築できます。
スクール形式の場合、1つのテーブルに何人座るかによって動員上限数が変わるため、テーブルサイズと配置を慎重に計画する必要があります。
基本的に壁際にはものを置かず、必要な通路幅を確保することが重要です。
特に出口付近は避難時に人が殺到するため、障害物を置かないよう注意しましょう。
ホワイトボードやプロジェクターを設置する際は、動作スペースを考慮し、壁と最前列の席との間に1,200mm程度のスペースを確保します。
またフレキシブルに動かせる家具を採用することで、レイアウトの自由度が増しさらに幅広い用途に対応可能です。
会議室で使用されるテーブルと周りの寸法
対面会議用テーブル
対面会議用テーブルは、参加者が向かい合って座る、ミーティング向けのテーブルです。
以下に、使用人数別の最適な横幅のテーブル寸法と、用途に合わせた奥行きについて記しました。
使用人数別の最適な寸法(横幅)
・4人の場合
1,500〜1,800mm
・6人の場合
2,100〜2,400mm
・8人の場合
3,200〜3,600mm
・10人の場合
3,600〜4,000mm
奥行とおすすめの用途
・奥行750mm
社員同士のショートミーティング向け
・奥行900mm
資料やPCを広げても圧迫感がなく、腰を据えてミーティングするのに最適
・奥行1,200mm
応接会議室・役員会議に最適
・奥行1,400mm以上
大人数での対面式会議やプレゼンルームに最適
ミーティングの目的や参加人数に応じて適切なサイズのテーブルを選ぶことで、快適で効率的な会議環境を提供できます。
会議用フラップテーブル
会議用フラップテーブルは必要に応じて簡単に移動や収納ができるため、幅広いレイアウトが可能です。
どんな空間でも使いやすいですが、使用人数を想定してデスクのサイズを選択しましょう。
使用人数別に最適なテーブル寸法は以下のとおりです。
・2人の場合
1,200〜1,500mm
・3人の場合
1,800〜2,100mm
以上を参考に、会議室の大きさやミーティングの規模に応じて適切なサイズを選ぶことで、スペースを効率的に利用できます。
また移動や収納も簡単なため、必要に応じて柔軟なミーティング環境を整えられます。
会議室の主なテーブルレイアウト
スクール形式:セミナーや勉強会に
スクール形式は、その名の通り学校の教室のようにテーブルと椅子を同じ方向に向けて配置するレイアウトです。
正面のスペースには、登壇者の立つ演台やスクリーン、ホワイトボードなどを設置します。
参加者が演台に立つ人に集中しやすく、自然な姿勢で板書を写せるため、勉強会やセミナー、講演会に最適なレイアウトです。
また資格や検定の試験場としても活用されますが、顔を合わせにくいためディスカッションには向いていません。
キャスター付きテーブルを使うことで、用途に応じたレイアウト変更が可能です。
対面形式:小規模ディスカッションに
対面形式は、長方形のテーブルを挟んで2つのチームに分かれて会議を行うのに適したレイアウトです。
各チームのメンバーが横並びに着席するため、全員が対等な立場で発言しやすくなります。立場や役職に関係なく、個々の意見をしっかりとディスカッションしたい場合にも有効です。
ただし、規模が大きくなるとテーブルの端側に座る参加者がコミュニケーションを取りづらくなるため、最大でも10人程度の小規模な会議に適しています。
コの字形式:プレゼンに
コの字形式は、テーブルと椅子を「コ」の字型に配置する、会議室でよく見るタイプのレイアウトです。
テーブルを置かない部分を前方としてスクリーンやホワイトボードを設置し、プレゼンテーションや登壇者の立つスペースを確保します。
参加者が向き合う配置のため、コミュニケーションが取りやすくなり、積極的なディスカッションが生まれやすいです。
ただしデッドスペースが生まれるため、大きめの部屋が必要です。
ロの字形式:重要な会議に
ロの字形式は、テーブルと椅子をカタカナの「ロ」の字型に並べるレイアウトで、重要な会議に用いられます。
登壇者が存在せず、参加者が互いに向き合って意見交換できる構造です。
全員が視線を感じやすいため、緊張感を保ちながら会議を進められます。
コの字型レイアウトと同様にデッドスペースが生まれるため、広めの部屋に適しています。
島型形式:グループワークに
島型形式は、大部屋に複数のテーブルを配置し、各テーブルに4〜8人程の参加者が着席するスタイルです。
複数のグループが、個別で議論やプロジェクトを進行する場合に用いられています。
複数のチームを抱える大きな組織で多く採用されており、会議室というよりも共同で使うオープンスペースに近いイメージです。
注意点としては、周囲の雑音が気になることや、まとまってのディスカッションが難しいことなどがあります。
シアター形式:大規模なイベントに
シアター形式はスクール形式と同じく横並びのレイアウトですが、テーブルを置いていないのが特徴です。
映画館のように参加者が同じ方向を向いて着席し、テーブルがないためスペースを広く使えます。
筆記が不要な発表会や講習会・入社式などに適しており、オフィス以外では上映会や演奏会にも利用されます。
メモの必要なディスカッションには向いていませんが、小型の筆記台付きの椅子を採用することで必要最低限の作業が可能になります。
会議室のレイアウト時のポイント
ゾーニングを考える
ゾーニングでは、オフィス全体のどの位置にどのスペースを設置するかを考えます。
会議室のゾーニングは、スムーズな動線と誰が使用するのかという点を踏まえて決めます。
社員の作業動線が途切れないか、コミュニケーションが取りやすいか、関連部署が近いかなどを確認しましょう。
会議室の利用頻度が高い部署の近くに配置するほか、来客も使用するならエントランスの近くも定番の設置場所です。
反対に機密性を重視するなら、エントランスから少し外れた場所に配置することも検討されます。
防音対策
会議室は重要な打ち合わせを行う場所でもあるため、情報漏洩防止の観点からも防音対策が必要です。
また外部の音がシャットアウトされることで集中しやすい環境が整うため、会議の質も向上します。
防音対策には、壁や床に吸音性の高い素材や二重の防音扉を採用することが効果的ですが、賃貸オフィスでは原状復帰コストに注意が必要です。
その場合は、後付けできる防音パネルや、壁や床の上から設置するタイプの吸音シートを活用します。
ゾーニングの段階で、執務室や人通りの多い場所から離して設置することも防音対策になります。
目的に応じた家具の選定
会議室の家具は、目的に応じて選ぶことが大切です。
例えば商談や重役が集まる会議には、木目のある茶系の落ち着いたデザインの家具が適しています。重厚感や高級感を演出することで、重要な意思決定が円滑に行われるようになるでしょう。
よりカジュアルに利用するなら、コンパクトで移動性に優れた家具を選ぶと柔軟にレイアウト変更ができて便利です。
固定式もしくは可動式の会議テーブル、スタッキング可能なチェアなど、用途に合った家具を選ぶことで、会議室の機能性と快適性を向上させ、効果的な会議運営が可能となります。
また会議室の用途によっては、家具以外にもプロジェクターセットやホワイトボードなど、会議用の備品も必要です。
会議室の大きさに合わせて、参加者全員が見えるサイズのものを選びましょう。
そのほかにもオフィスグリーンを取り入れるとリラックスしやすくなり、落ち着いて会議ができる環境を整えられます。
会議室を設計する段階で、なんのために使用するかをしっかり計画することで、ゾーニングや防音レベル、設置する家具はおのずと決まります。
コンセプトを決め、実際の使用を想定しながら計画を進めましょう。
最近の会議室デザイン傾向
働き方の変化やテクノロジーの進化に伴い、会議室デザインにも新たなトレンドが生まれています。
リモートワークの普及により、オンラインと現地でのハイブリッド会議が増加し、物理的な空間だけでなくデジタル環境との統合が求められるようになりました。
またSDGsの広がりによって、企業にもエコな考え方が求められるようになってきています。
こういったさまざまな要因によって、従来の会議室も形を変えています。
ここでは、最新の会議室デザイン傾向について詳しく見ていきましょう。
バイオフィリックデザイン
バイオフィリックデザインとは、オフィス空間に自然とのつながりを持たせたデザイン手法です。
自然光を取り入れたり、植物を配置することで会議室内に自然を取り入れます。
自然と触れ合うことでストレスを軽減し、集中力を高めることが目的です。
緊張感が伴う会議を効率的に進めるためには、心理的な安心感やリラックスした雰囲気も必要です。
緑や木材を使ったナチュラルなデザインがあることで、参加者のリラックス効果を促進し、心地よい環境での会議を可能にしています。
また自然を取り入れることは従業員の心身の健康への配慮につながるため、働く環境に注力する企業として対外的なイメージの向上にもなるでしょう。
ICT対応の会議室
テクノロジーの進化に伴い、ICT対応の会議室が増えています。
リモートワークの普及により、オンラインとリアルをつなぐ、ハイブリッド会議を円滑に進行するための設備が必要となったためです。
高品質なビデオ会議システムや、遠隔からの参加者もストレスなくコミュニケーションできる音声システムが設置されています。
またAIやIoT技術を活用すれば、会議室の予約や議事録作成が自動化されて運営の効率がさらに向上します。
多目的な会議室
幅広い用途に対応できるようにデザインされた会議室も近年のトレンドです。
簡単なミーティングから商談、セミナーなどそれぞれの用途に対応可能な、複数の機能を一つの会議室に集約します。
具体的には、可動式の家具やパーテーション、ホワイトボード、プロジェクターを設置することで、参加者の人数や会議の内容に合わせたレイアウト変更にフレキシブルに対応します。
少人数のミーティングから大規模なプレゼンテーションまで、状況に応じて最適なレイアウトが可能です。
なかにはオープンスペースと会議室を兼用する事例もあり、従来の閉じられた会議室のイメージとは大きく変化してきています。
オープンスペースとして設けることで、カジュアルな打ち合わせやクリエイティブな発想を生む場としても利用されています。
オープンスペースについての詳細は、こちらの記事もご覧ください。
実際の会議室の寸法とレイアウト事例
NECネッツエスアイ株式会社 新潟支店
NECネッツエスアイ株式会社新潟支店ではフリーアドレス制を採用しており、従業員は自由な席で働くことが可能です。そのため社員の動向を把握しやすいようにオープンな空間が構築されています。そのなかで会議室は唯一のクローズドな空間で、重要な会議の際は周囲の目や音を気にすることなく集中できます。
またオープンスペースと会議室を隔てるパーテーションにはくもりガラスが採用されており、周囲からの視線をカットしています。
株式会社イントラスト
株式会社イントラストでは複数のミーティングスペースを設けており、幅広い会議に対応できる環境を整えています。
ミーティングスペースと会議室では、4人掛けの対面型のデスクを採用しています。
大規模なミーティングに対応できる研修室にはキャスター付きのデスクが配置され、目的に合わせてフレキシブルなレイアウト変更が可能です。
またミーティングスペースと会議室は窓側に設置されていて、コンパクトなスペースながらも圧迫感を感じないように工夫されています。
I社
I社では働く人々のことを考え、幅広い仕事環境を提供しています。
会議室に続く通路は広々とした設計で、ストレスなく移動が可能です。
またいずれの会議室にもくもりガラスが採用されており、中の様子がわからないように配慮されています。
さらに、通常業務で使用されているチームエリアやフリーエリアにはキャスター付きのデスクが採用され、レイアウトを変えることで大規模な会議も行えるようになっています。
会議室の寸法とレイアウトに関するQ&A
会議室が確保できない時の対処方法は?
会議室が確保できないケースに備えて、フレキシブルなオフィスレイアウトを採用しましょう。
可動式の家具を採用することで、オープンスペースやカフェエリアを臨時の会議スペースとして利用することもできます。
また、オンラインミーティングツールの使用もおすすめです。
Zoomなどのツールを利用して、それぞれの仕事場所にいながら会議ができます。
ただし、会議の内容によってはこれらの方法が向いていないこともあります。
設計段階で使用頻度を想定し、必要なら予約システムなどを導入することで、よりスムーズに会議室を使用できます。
事前に利用状況が把握できることで、会議のスケジュールが組みやすくなり混雑を防止します。
会議室のレイアウトを整えるメリットは?
会議室のレイアウトを整えることには多くのメリットがあります。
効率的なレイアウトにより、スペースの無駄を減らし会議の参加者が快適に利用できる環境が整います。
洗練されたレイアウトを行う際には、寸法を計算し必要なスペースを確保しましょう。
参加者同士のコミュニケーションが円滑になり、会議の進行がスムーズになります。
会議による意思決定がスムーズになるとその他の業務効率向上につながるため、会社全体の生産性も上がります。
会議室を別の用途で使っても良い?
企業によっては、多目的に会議室を利用しています。
普段は会議室として使用し、時にはイベントスペースとして活用しているケースもあります。
また、執務空間を会議室として利用する企業もあります。
多目的に会議室を使用するなら、可動式の家具を採用するのが効果的です。
キャスター付きのテーブルやスタッキング可能なチェアを導入することで、簡単にレイアウトを変えられます。
スクール形式、対面形式、島型形式など、会議の目的に応じてレイアウトを柔軟に変更できるため、さまざまな会議スタイルに対応できます。
多くの機能が一つに集約されることで、その他のスペースを最大限に活用できます。
新しいオフィスをつくるなら「プラス」へ
会議室は企業の重要な意思決定を行うための、オフィスには不可欠なスペースです。
フリーアドレス制のオフィスが流行し、オープンスペースが主流になっているものの、クローズドな会議室は多くの企業に必要とされています。
会議室を構築する際には使用目的や動線を考え、しっかりとプライバシーを確保することで円滑な会議を実現可能です。
会議室やオフィス全体の設計を検討しているなら「プラス」にご相談ください。
プラスではデザインや設計、家具の選定や搬入、施工までワンストップで対応しているため、オフィスの新築や移転を効率よくアウトソーシングできます。
今回紹介した事例以外にもさまざまなオフィス事例を公開していますので、ぜひご覧ください。