「これってうちの会社だけ?」「他社は何か工夫してる?」
他社の状況を知れば、自社の改善ポイントが見えてくる。
このコーナーでは、『職場の居心地』に関連する身近なテーマでウェブ調査を行い、
その結果をレポートしていきます。
コロナ禍で急速に進んだリモートワーク。新型コロナウイルス感染症の位置づけが「5類感染症」に移行されたことに合わせて、再度働き方が見直された企業も多いのではないでしょうか。
今回は、リモートワーク経験者を対象に「コロナ収束後、どの程度リモートワークを行いたいか?」を訊いたアンケート結果をご紹介。また、2021年と2023年の回答結果を比較しながら、「リモートワーク時に感じている課題」について改善や変化はあったかを見ていきます。
【目次】
Q1. あなたは、コロナ収束後も含めて今後、どの程度リモートワークを行っていきたいとお考えですか?(2023年調査)
Q2. リモートワーク時、オフィスに出社した際よりも仕事の進捗に問題を感じることはありますか?(2021年/2023年調査比較)
Q3. リモートワークを行うことで、気持ちの面で問題を感じることはありますか?(2021年/2023年調査比較)
Q4. あなたが、オフィスでの「人とのつながり」に求めていることは何ですか?(2021年/2023年調査比較)
[アンケート実施情報]
方法:インターネット調査
回収日:【2021年調査】2021年6月8~11日/【2023年調査】2023年4月6日
対象:従業員数100名以上のオフィスで働く、デスクワークを含む業務を行う会社員、公務員
サンプル数:500人
Q1. あなたは、コロナ収束後も含めて今後、どの程度リモートワークを行っていきたいとお考えですか?(2023年調査/n=500)
「基本的に毎日リモートワークしたい」と回答した人が33.6%、「基本的に毎日出社したい」と回答した人が9.8%。「リモートワークする割合が多めがいいが出社も多少したい」、「出社とリモートワークの割合が半々程度がいい」、「出社する割合が多めがいいが、リモートワークも多少したい」と回答した人の合計は56.6%という結果でした。
出社とリモートワークを併用した働き方=ハイブリッドワークを望む回答が半数以上を占めました。「リモートワークのみ」を望む人は約3割、「出社のみ」を望む人は約1割という結果に。どちらか片方ではなく、出社とリモートワークの良いとこどりをしたいと考える人が多いようです。
Q2. リモートワーク時、オフィスに出社した際よりも仕事の進捗に問題を感じることはありますか?(2021年/2023年調査比較)
「リモートワーク時、オフィスに出社した際よりも仕事の進捗に問題を感じることはありますか?」という質問に対し、2021年の調査では「問題を感じることがある」と回答した人が70%、2023年の調査では74.4%という結果でした。
調査前は、「リモートワークを続ける中でノウハウが蓄積され、解決していく問題も多い」と予想していましたが、「問題を感じることがある」と回答した人の割合は2023年の方が若干多い結果に。どのような問題を感じているのか、次の項目で内訳を見てみます。
「仕事の進捗」に関する具体的な問題について複数回答で訊いたところ、「リモートのコミュニケーションでは相手の様子や感情を読み切れず、気を遣っている」という項目は、2年前と比較して10ポイント高い結果に。一方で、「プロジェクトやチームで進めている活動の推進力が減速している」という項目は、2年前よりも10ポイント低い結果となりました。
「相手の様子や感情を読み切れず気を遣う」と感じている人の割合が、2年前と比べて増加していました。リモートワークの期間が長くなるほど、周りのメンバーの状況や人柄を知るヒントが少なくなり、気を遣ってしまうのかもしれませんね。反対に、「活動の推進力が減速している」については10ポイント減少しており、リモートワーク下で活動を推進するノウハウが蓄積されてきたと受け取れます。
Q3.リモートワークを行うことで、気持ちの面で問題を感じることはありますか?(2021年/2023年調査比較)
「リモートワークを行うことで、気持ちの面で問題を感じることがありますか?」という質問に対し、2021年の調査では「問題を感じることがある」と回答した人が69.0%、2023年の調査では69.6%という結果でした。
「気持ちの面」に関する具体的な問題について複数回答で訊いたところ、「職場の人たちの顔を見る機会が減って疎遠になる」という項目が、2021年、2023年共に最も多くの回答を集めました。「チームメンバーの様子が見えないと仕事をしているのか不信に感じる」という項目については、2021年と比較して2023年では8ポイント低下しています。
相手の状況が見えないことによる「不信感」は、2年間の中で解決傾向にあることが伺えます。一方で、「顔を見る機会が減って疎遠になる」は2021年、2023年共に最も多くの回答を集めており、「人とのつながり」の部分をリモートワークの課題ととらえている人が多いことが伺えます。
Q4. あなたが、オフィスでの「人とのつながり」に求めていることは何ですか?(2021年/2023年調査比較)
最後に、オフィスでの「人とのつながり」について求めていることを複数回答で質問しました。2021年調査では「チームメンバーとすぐに打合せの内容に適した場所で議論できる」が最も多くの回答を集めていましたが、2023年調査では14ポイント減少。一方、「チームメンバーの状況や様子が分かる」は8ポイント増加しました。
2021年調査では半数以上の人が「打合せ」に関心を寄せていましたが、2023年調査では13ポイント減少。一方で「チームメンバーの様子が分かる」が増加していることから、打合せに関する課題は解消傾向にあり、オフィスでは「他のメンバーの働く様子を肌で感じられること」がより重要視されていると予想できます。
まとめ
アンケートの結果から、半数以上の人が、出社とリモートワークを併用する「ハイブリッドワーク」を望んでいることがわかりました。リモートワーク時に感じる課題については、「プロジェクトの推進力」や「打合せ」など業務上の課題については改善傾向にある一方、「気を遣う」「疎遠になる」といった気持ちの面での課題は依然として根強いという結果に。これからのオフィスワークでは、「他のメンバーが働く様子を肌で感じられること」がより大切になりそうです。
【引用について】
「プラス『職場の居心地WEB調査』より引用」などと明記いただければ貴社媒体や社内資料等に引用いただいて構いません。
第六回のテーマは……
【オフィス出社とリモートワーク、理想的な割合は?】