集中力はどの程度、持続するのでしょうか。これは90分であったり、45分であったりと諸説あり、一概に何分とは言い切れません。もちろん年齢によっても変わってくるでしょう。ただひとついえることは、集中力を持続させることは簡単ではないということです。また持続以上に難しいのが、集中力を高めることです。特に、一旦落ちてしまった集中力を、改めて高めることは非常に困難です。そこで、今回は仕事で集中できない原因や、集中力を高めるための対策について考えていきます。
仕事に集中できない理由とは?
仕事に集中できない理由は、大きく自分自身の問題と環境の問題の2つに分けられます。ここではそれぞれの問題について具体的にご紹介します。
自分自身の問題
寝不足、疲れなどによる体調不良
厚生労働省が毎年行っている「国民健康・栄養調査」。平成29年度版では、20歳以上の20.2%、つまり約5人に1人が睡眠で休養が取れていないと回答しています。特に40代では30.9%とさらに高く、常時寝不足の状態でいる人が多いことがわかります。寝不足が続くと疲れもたまることで、集中力も持続しにくくなるでしょう。ほかにも食事を取らない、逆に食べ過ぎてしまうことなどによる体調不良も、仕事に集中できない理由のひとつです。
時間、デッドラインを決めない
デッドラインを決めずに漫然と仕事をしていては、なかなか集中することはできないうえ、業務効率も上がりません。また、時間を区切って仕事をしないと、休憩と仕事の境界も曖昧になり、さらに業務効率が落ちてしまいます。
マルチタスクをこなそうとしてしまう
どんなに優秀な社員であっても、一度にできる仕事の量には限界があります。ひとつのことに集中せず、マルチタスクをこなそうとすると、集中力が散漫になり、結果として全体の効率が落ちてしまうでしょう。
環境の問題
メールや電話などが頻繁に入り、仕事を中断せざるを得なくなる
会社にいると電話やメール、同僚や上司、部下から案件を振られるなど、さまざまな雑事があります。そのたびに自分の仕事を中断することにより、集中力が途切れてしまいます。
人の出入りが多かったり、周りの目が気になったりする
外回りの営業社員やお客様など会社には常に多くの人の出入りがあります。また社内のレイアウトによっては、周囲の動きが目に入り、気が散って集中できないといったこともあるかもしれません。
集中力を高めるための対策-1 気持ちづくり
それでは具体的に集中力を高めるための対策についてご紹介します。まずは自分自身の問題への対策です。基本的に自分自身の問題への対策は、自身の気持ちで対応することが可能です。
自分がやるべきこととそうでないことを区別する
自分がすべきこと以外のことまでやろうとすると、マルチタスクになってしまい、集中できないばかりか、自分の仕事にも支障が出ます。まずは自分がやること、人に任せられることを区別することから始めましょう。
時間を区切る、デッドラインを決める
スケジュール管理は極力自分で行うようにします。今やっていることのデッドラインを決め、食事や休憩といった時間もあらかじめ区切っておくことで、限られた時間のなかで集中して仕事をする癖をつけます。
メールやネットを見ない時間をつくる
集中して仕事をしようと思ったら、メールやネットを見ない時間をつくることも重要です。仕事の途中でメールやネットを見るとどうしても気が散ってしまい、集中力が欠けてしまいがち。メールやネットを見なければ、雑事が増えることもなく、知らぬ間にマルチタスクになってしまうことも防げます。
睡眠、栄養をしっかりと摂取する
集中して仕事を行うには、万全な体調で臨むことが重要です。そのためには、睡眠をしっかり取り、忙しくて食事を抜くといったことはないようにします。前述したように食事の時間は事前に決め、必ず守るようにすることで集中力が高まり、業務効率も向上します。
集中力を高めるための対策-2 環境づくり
資料作成を効率的に行うには、作業環境も重要です。自席では電話や来客が多く、なかなか資料作成に集中できないということもあるでしょう。会社として社員が作業に集中できる環境を整えることが求められます。
デスクの位置
人は圧迫感があると、どうしても集中力が欠けてしまいます。これを防ぐには、デスク周りに空間をつくることです。また、背後にドアがあるというレイアウトも、ドアが開くたびに後ろが気になって集中できません。可能であれば背後が壁になるようデスクを設置するのがおすすめです。
オフィスの配色
集中力を高める色は青、もしくは彩度の低い寒色系といわれています。こうした色は精神、肉体をリラックスさせる効果があり、集中力も高まりやすくなるでしょう。またベージュは安心感が生まれ、業務効率の向上が見込めます。
道具の置き場所
業務に必要な書類や道具は、デスクに座った際、目につきやすい場所に置くようにします。そうすることで必要な時に「探す」という無駄な時間が削減され、集中力が削がれるリスクがなくなります。
オフィスのすべてでこうした環境を実現させることは難しいという場合、自分のデスク以外に書類棚や必要なものを設置したスペースをつくることもおすすめです。集中したいときはそのスペースで業務をするようにすれば、メリハリも出ますし、周囲の協力も得やすくなります。
集中力を高めるためには、まず環境づくりから
集中力を欠いたままで仕事をすると、ケアレスミスが増え、業務効率が落ち、生産性も悪くなるばかりか、場合によっては大きな損失を生み出す可能性もあります。こうしたリスクを防ぐには、高い集中力を保ったまま業務を行うことが必須です。しかし会社ではさまざまな要因によって、集中力を持続させることが難しくなっています。そこで重要なことは、自身での気持ちづくりと集中力を高めるための環境づくりです。業務に集中できる環境を提供することが、企業の生産性を高めることにつながっていくのです。