家庭に近い環境で個別ケアを
より家庭に近い環境で、スタッフとともにゆったりと個別ケアを行いたい。そんな想いから生まれたのが当施設プラチナ・ヴィラです。150床のうち約半数(72床)は個室、その個室を12床単位で1つのユニットとし、ゆき届いたケアが行えるようにしています。
そして、当施設をつくるにあたって最も重要視したことは、<施設的な雰囲気にしない>ということでした。普段の家庭での生活に、少しでも近づけるようにしたかったのです。
これだけの規模になると、どうしても施設的になりがちですから、それこそあらゆる工夫をしました。例えば、建物の外観は、一見すると普通のマンションと変わりません。建物の形は、海辺のリゾートホテルのように緩やかな弧を描いています。
長い直線の廊下では病院のようになってしまいますが、廊下がカーブしているので歩きながら景色が変わるし、その距離の長さを感じにくいのが良いと思います。
また、ユニットケアにあわせて食堂や談話室、サービスステーションなど生活に必要な空間を分散配置し、こじんまりとした、落ち着ける広さというものを大切にしました。
住宅向け素材を使用
建物だけでなく内装や家具も、できる限り住宅向けのものを使用しています。施設向けの製品の仕様を変えてもらって対応したものもあります。例えば、施設ではロビーや談話室、食堂、個室とさまざまな椅子を使用しますが、一般的にはビニールレザー張りが多いようです。ですが、もっと家庭的な雰囲気とか、家庭で普段使用している素材を優先したいと考え、食堂など一部を除いて布張りにしました。 食堂の椅子は汚れや衛生面への配慮からビニールレザーを使っていますが、そこだけ浮いた感じにならないよう、慎重に色を選んでいます。
家具備品の選定を同時に進め、一体感を
こうした細かい配慮をしながらも、施設全体として調和があり一体感がでるようにしています。 設計にあたり、こちらが要望するイメージを伝えるのは勿論ですが、早い段階から家具備品の選定を同時に進めたのがよかったと思います。
通常は、建物の設計と家具の選定とは別々に行われることが多いと聞きますが、それでは、設計の意図が生かされなかったり、イメージが揃わないといったことがどうしても出てきてしまうと思います。 例えば、食堂のテーブルの脚ですが、既製品そのままでは樹脂製だったのを、特注で木製に付け替えることにしました。その際、部屋の内装と合うように色を調整してもらいました。
このように我々とデザイナーとの密な連携の積み重ねがあったからこそ、一体感のある施設を完成させることができたのだと思います。
小高い場所に立つプラチナ・ヴィラの夜景。暖かい灯りがやさしい。