この記事でわかること
- 製造業のオフィスに不可欠な、工場への最短動線や進捗の視覚化で現場連携を深める設計
- 工場併設型特有の悩みである騒音・振動・汚れを、緩衝ゾーンなどで遮断する工夫
- 製造業の従来のイメージを払拭する快適な空間が、採用やDX推進に直結する理由
製造業のオフィスは、工場や生産ラインなどの現場との連携が日常的に発生するため、デスクワーク部門と現場の橋渡しになるレイアウト設計が不可欠です。情報共有のしやすさや進捗管理の効率性、来訪者への第一印象といった複数の要素を同時に満たす設計が、製造業ならではの課題といえるでしょう。
この記事では、製造業に必要とされるオフィスやレイアウトの特徴のほか、設計のコツを、プラスの事例とともに紹介します。
製造業のオフィスレイアウトの特徴
製造業のオフィスには、ほかの業種とは異なる独自の設計要件があります。以下の3つの視点から、その特徴を見ていきましょう。
■製造業のオフィスレイアウトの特徴

現場との連携を重視した機能的な空間設計
製造業のオフィスは、デスクワークを行うスペースと「製造現場(工場)」の緊密な連携が不可欠です。工場への出入り口近くに、大型モニターやホワイトボードを備えた進捗管理エリアを配置すれば、現場の状況をリアルタイムに共有できます。
また、工場のすぐ近くに少人数の打ち合わせスペースを確保すると、作業着のままでもすぐに集まることができ、現場の課題に対処する迅速な意思決定が可能になるでしょう。
人材定着・採用力を高める「魅せるオフィス」づくり
あらゆる産業で深刻な人材不足が共通の課題となるなか、製造業においても優秀な人材の確保とさらなる定着率の向上が求められています。そのため、応募者が「ここで働きたい」と憧れ、従業員が誇りをもって長く働ける「魅せるオフィス」へのリニューアルが効果的です。
具体的には、自然光を取り入れた明るいカフェや食堂など「行きたくなる共有スペース」を設け、全社的なウェルビーイングを高めます。さらに、工場とオフィスの清潔感やデザインのトーンを統一すると、現場との心理的・環境的な格差をなくし、企業のエンゲージメントと採用力を底上げします。
DX推進・ペーパーレス化に対応した柔軟なレイアウト
製造業では依然として紙の書類や図面が多く残る傾向にありますが、DX推進とペーパーレス化にも対応した柔軟なレイアウトの構築が重要です。電子図面の閲覧に対応した大型モニターや、データ共有を前提としたネットワーク設計が求められるでしょう。
固定席中心のレイアウトから、プロジェクト単位で組み替えられる柔軟なレイアウトへの移行も進んでいます。現場との兼務者が多い場合は、フリーアドレスと固定席を組み合わせたハイブリッド型が有効です。

製造業のオフィスレイアウト設計のポイント
ここでは、製造業オフィスのリニューアルや移転に際して、特に意識したい設計のポイントを4つ紹介します。
<製造業のオフィスレイアウト設計のポイント>
- ポイント1:情報共有・進捗管理がしやすい動線・ゾーニング設計
- ポイント2:多様な会議・打ち合わせに対応したスペース確保
- ポイント3:人間工学にもとづいた家具・設備の選定
- ポイント4:騒音や振動への対策
ポイント1:情報共有・進捗管理がしやすい動線・ゾーニング設計
設計・生産管理・品質管理・営業など、部署間の連携が多い製造業では、「どの部署がどこにいるか」を直感的に把握できるゾーニング設計が生産性の向上に直結します。特に生産管理と設計部門を隣接配置し、共有の進捗管理ボードや大型モニターを設けると、情報共有のロスを最小化できます。
また、工場から直帰するフィールドスタッフ向けに、オフィスエリアへのアクセスを確保した動線計画も欠かせません。
ポイント2:多様な会議・打ち合わせに対応したスペース確保
製造業の社内打ち合わせは、少人数のクイックミーティングや、設計・品質・営業が集まるプロジェクト会議など、その規模はさまざまです。大型会議室だけでなく、2〜4名で使える小型ブースや、立ち話で完結できるマグネットスペースをバリエーション豊かに配置すると、会議室が空くのを待つといった非効率な状況を解消できます。
また、Web会議の普及に伴い、音声や映像環境を整えた個室ブースへのニーズも増えています。
ポイント3:人間工学にもとづいた家具・設備の選定
製造業のデスクワーク担当者は、長時間のPC作業や図面チェック、データ入力などに従事することが多く、身体的負荷の軽減が生産性と健康維持に直結します。オフィスでは人間工学にもとづいたチェアや昇降デスク、適切な照度の照明を取り入れると、疲労の蓄積を抑え、集中力を維持しやすい環境を整えることが可能です。
また、図面や資料を広げる機会が多い部署には、ゆとりある天板サイズと収納スペースを一体化させたデスク環境(ワークステーション)がおすすめです。
ポイント4:騒音や振動への対策
工場の稼働音や機械振動がオフィスに伝わると、集中業務や電話・Web会議の品質に支障をきたします。これらを防ぐには、吸音パネルや防音個室ブースの設置、工場との間に廊下や倉庫を挟む緩衝ゾーンの確保、さらには床への防振材の施工などが有効です。音や振動の伝播経路を適切に遮断すれば、オフィス側の快適性を大幅に向上できます。
特に精密機器を扱う設計・品質管理部門では、振動が測定精度に影響するケースもあります。用途に応じた防振床材の選定も検討してください。

工場に併設するオフィスならではの注意点
工場と隣接・併設するタイプのオフィスには、一般的なオフィスリニューアルとは異なる固有の課題があります。設計段階で課題を解消し、誰にとっても使いやすい空間をつくりましょう。課題点と対策を解説します。
汚れ・粉塵への対策
製造現場で生じる粉塵や汚れをオフィスエリアに持ち込むと、OA機器の故障や清潔感の低下につながります。そのためには、工場とオフィスの間にエアシャワーや更衣スペースを設けるほか、防汚性の高い床材・家具の選定が欠かせません。
また、汚れを広げないためには、現場担当者の動線とオフィス従業員の動線を分離する設計も効果的です。例えば、工場から戻る際は必ず更衣室や手洗い場を経由する「専用ルート」を設けるなど、間取りの工夫によって、執務エリアの圧倒的な清潔さを維持しやすくなります。
温熱環境・におい・空気の質への対策
工場内の熱やにおい、空気中の揮発性物質がオフィスに流入すると、執務環境の快適性が著しく損なわれます。空調を工場とオフィスで独立させて、オフィス側をわずかに外部より気圧を高めて正圧に保ち、熱やにおい、汚染された空気の流入を防ぎましょう。
換気計画も併せて検討することが重要です。外気導入量を適切に確保し、オフィス内の空気質を常に清浄に保つ設計が、従業員の健康維持と生産性の両面で長期的な効果をもたらします。
【事例】プラスが手掛けた製造業のオフィスデザイン
ここからは、オフィスづくりのプロ・プラスが手掛けた製造業のオフィスリニューアルの事例を紹介します。さまざまな規模・ニーズに対応した実績を参考にしてください。
【約3,000平方メートル】次の時代に向けて「進化」できるオフィスを実現した山田電器工業株式会社 様

| 入居人数 | 約60名 |
| 延べ床面積 | 約3,000平方メートル |
| 業界・業種 | 製造業 |
創業60周年という節目での新社屋への建て替えを実施。次の時代に向けて進化するために、ショールームや試作室のイメージを刷新し、部門間のコラボレーションを促すエリアなどを設け、オフィスを通して従業員の行動や意識の中に「継承」と「変化」を引き起こす設備を取り入れました。
詳しくは、こちらのページをご覧ください。
【約3,000平方メートル】次の時代に向けて「進化」できるオフィスを実現した山田電器工業株式会社 様
【約2,000平方メートル】社内・社外との共創を生み出す仕掛けを散りばめた共同カイテック株式会社 様

| 入居人数 | 約200名 |
| 延べ床面積 | 約2,000平方メートル |
| 業界・業種 | 製造業 |
本社移転プロジェクトで、3つの事業部を1フロアに集約。自社のアイデンティティを発信するショールームスペースのほか、執務スペース内でも自社製品を活用したグリーンARTウォール、コミュニケーションを促進させるフリースペースやリフレッシュルームなどを構築しました。
詳しくは、こちらのページをご覧ください。
【約2,000平方メートル】社内・社外との共創を生み出す仕掛けを散りばめた共同カイテック株式会社 様
【約950平方メートル】個性や強みを発揮しやすい環境を構築した日本ペットフード株式会社 様

| 入居人数 | 約100名 |
| 延べ床面積 | 約950平方メートル |
| 業界・業種 | 製造業 |
さまざまな食材や栄養素をバランスよくブレンドしてペットフードを製造している同社。オフィス増床の際にも、「溶け出す」「交わる」というキーワードをもとに、溶け合うような曲線を随所に取り入れました。明るい木目やグリーンを基調としたナチュラルテイストの空間により、信頼や健康といった企業としてのメッセージや文化を体現しています。
詳しくは、こちらのページをご覧ください。
【約950平方メートル】個性や強みを発揮しやすい環境を構築した日本ペットフード株式会社 様
【約600平方メートル】コミュニケーション促進を軸に、「清潔感」と「品位」を確保した東洋精糖株式会社 様・トーハン株式会社 様

| 入居人数 | 約60名 |
| 延べ床面積 | 約600平方メートル |
| 業界・業種 | 製造業 |
グループ会社2社の関係強化を狙った拠点統合移転を実施。役職席を廃し、書類量を最小限まで抑えてリフレッシュスペースなどの共有スペースを広く確保しました。物理的にも部署間・会社間の垣根のないオフィス環境を構築し、コミュニケーションの促進を図っています。
詳しくは、こちらのページをご覧ください。
【約600平方メートル】コミュニケーション促進を軸に、「清潔感」と「品位」を確保した東洋精糖株式会社 様・トーハン株式会社 様
【約350平方メートル】シンプルなゾーニングと動線で、働きやすいオフィスを構築した株式会社武蔵野化学研究所 様

| 入居人数 | 約40名 |
| 延べ床面積 | 約350平方メートル |
| 業界・業種 | 製造業 |
ファインケミカル分野のトップメーカーである同社の本社ビルの取り壊しに伴う移転では、従来のオフィス機能の見直し、「業務が行いやすい」「人とのコミュニケーションがとりやすい」「必要な情報が手に入りやすい」といったあらゆる面でのEasy Accessを実現。ゾーニングや動線計画をシンプルにし、スマートで働きやすいオフィスになりました。
詳しくは、こちらのページをご覧ください。
【約350平方メートル】シンプルなゾーニングと動線で、働きやすいオフィスを構築した株式会社武蔵野化学研究所 様
製造業のオフィスリニューアル、オフィス移転のことならプラスにお任せください
製造業のオフィスレイアウトは、単なる事務スペースの改善に留まりません。現場とのシームレスな連携による生産性向上と、清潔で魅力的な環境による採用・定着率の向上を同時に実現することが、これからの製造業の競争力に直結します。
工場併設特有の騒音や環境対策を含め、自社の課題に合わせた最適な空間づくりが不可欠です。プラスでは、豊富な実績をもとに、お客様の現場に即した柔軟なオフィスプランをご提案します。設計から運用まで、新しい一歩をトータルでサポートいたしますので、ぜひご相談ください。

製造業のオフィスづくりに関するよくある質問
製造業にはどのようなオフィスデザインが適していますか?
製造業のオフィスデザインは、工場との行き来がしやすく、業務の目的に応じて「集中」と「リフレッシュ」のメリハリをつけたゾーニング設計が適しています。また、図面の共有や現場確認のために工場との連携が頻繁に発生するため、移動の無駄をなくすスムーズな動線設計が欠かせません。その上で、オフィス環境に開発に没頭できる集中エリアやスタッフ同士が息抜きできるリフレッシュスペースを適切に配置することが重要です。
製造業のオフィスレイアウト設計のポイントは何ですか?
製造業のオフィスレイアウトのポイントは、情報共有や進捗管理がしやすい動線とゾーニングの設計のほか、多様な会議に対応したスペースの確保、そして人間工学にもとづいた家具・設備を選定することです。特に現場担当者とデスクワーク担当者が自然に交流できるレイアウトは、製造業ならではの設計要素といえます。
工場に併設するオフィスのリニューアルならではの課題と解決策は何ですか?
工場に併設するオフィスの主な課題である、騒音や振動、汚れ、粉塵、においなどを防ぐには、建築・設備面からのアプローチが有効です。具体的には、吸音パネルや防振構造による音・揺れの遮断、更衣室の設置や防汚床材による汚れの持ち込み防止、そして空調の分離や正圧設計によるにおいの流入防止などが挙げられます。

