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オフィス移転やレイアウト変更などの際、自社ではどのくらいのオフィス面積が必要なのか検討しなければなりません。オフィスに必要な面積は、1人当たりに必要な面積に人数をかけて計算することが基本。しかし、コロナ禍においては感染対策も考慮に入れ、狭いオフィスであっても工夫をしながらソーシャルディスタンスを確保しなければなりません。ここでは、コロナ禍における1人当たりのオフィス面積の目安やオフィス面積の決め方などを紹介します。

1人当たりのオフィス面積はどのくらいなのか

まずは東京23区内における1人当たりのオフィス面積がどのくらいなのか、ザイマックス不動産総合研究所がオフィスビルにテナントを持つ企業を対象に行なった、「1人あたりオフィス面積調査(2019年)」を見てみましょう。オフィス面積は景気やオフィス需要によって、微妙に変化していることが分かります。

2019年東京23区内オフィス

2019年4月時点の東京23区内にあるオフィスでは、1人当たりのオフィス面積の中央値は3.71坪でした。この数字は2008年以降でもっとも低い数字です。さらに、契約して1年以内の新規テナントに限ると、2018年の3.82坪から3.34坪と大幅に減少。この数字も2008年以降でもっとも低い数字となっています。

1人当たりのオフィス面積減少の要因

2019年になってここまで面積が減少した要因としては、フリーアドレスやテレワークを導入した企業の増加が考えられます。2020年の調査結果はまだ出ていませんが、新型コロナウイルスの影響もあり、テレワーク導入企業が急増した点に鑑みると2020年はさらに面積が縮小していると推測できます。

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オフィス面積の広さによるメリットとデメリット

オフィス面積はどのくらいの広さが理想的なのでしょうか。狭すぎると業務に支障が出る場合がありますが、逆に広すぎて効率が悪くなってしまう場合もあります。具体的に面積が広い場合と狭い場合、それぞれメリットとデメリットを見てみましょう。

面積が広いことのメリット

ソーシャルディスタンスを確保できる

コロナ禍においては、人と人の間で最低2m開ける必要があります。面積が広いオフィスであれば、テレワークが難しい業種であってもソーシャルディスタンスを確保したレイアウトが可能です。

開放的なオフィスの実現

オフィス面積が広いと、社員一人ひとりの作業スペースを広く確保できます。その結果、圧迫感がなく開放的なオフィス空間が実現できるでしょう。また、空気の通り道も多くつくれるため、換気しやすくなるのもメリットのひとつです。

オフィススペースの柔軟な活用が可能

新型コロナウイルス感染防止対策として、テレワークを導入した場合、オフィスから在宅社員や取引先とWeb会議を行う機会が増加します。その際、自席でパソコンに向かって会話をするのは周囲の迷惑になってしまう場合もあるでしょう。また、周囲の声が気になって会議に集中できないケースも少なくありません。そうした際に広いオフィスであれば、空いたスペースに集中ブースを設置するなど柔軟な活用が可能です。

多様な人材の雇用が可能

オフィス面積が広ければ、ユニバーサルデザインを採用しやすくなります。そうなれば、多様な人材を受け入れることが可能です。

業績拡大時の社員増員にも対応可能

業績が拡大すれば社員の増員も検討が必要になります。オフィスが狭いと簡単には対応できず、場合によっては移転の必要性も出てくるでしょう。しかし、広いオフィスであれば、増員の規模にもよりますが、レイアウトの工夫次第でソーシャルディスタンスを保ちつつ、増員対応も可能になります。

セキュリティリスクの低減

広いオフィスはセキュリティや安全性の面でも安心感があります。見通しのよいスペースは不審者の侵入防止や災害時の避難経路確保などがしやすくなるでしょう。

面積が広いことのデメリット

賃料や光熱費などのコストが上がる

広いオフィスを維持するには、賃料や光熱費などのコストがかかります。特に、東京23区内ではテナント料が高いため、使わないスペースが生じるような広いオフィスを借りるのは経費の無駄になってしまうでしょう。

面積が狭いことのメリット

コスト削減の実現

オフィス面積が狭いことの最大のメリットはコスト削減です。賃料や光熱費などのコストを低く抑えられるでしょう。

移動効率の向上

オフィスがコンパクトにまとまっている分、社員の動線が効率的になることもメリットです。コンパクトなオフィスでは自席からコピー機や収納庫が近いため、オフィス内の移動時間を短縮できます。従業員同士の距離感が近くなるため、コミュニケーションを取りやすいこともメリットです。

面積が狭いことのデメリット

感染対策が困難になる

オフィス面積が狭ければ、どうしても机の間隔が狭くなってしまうため、ソーシャルディスタンスが取りにくくなります。その結果、感染症への対策が困難になるでしょう。

従業員のストレス増加

オフィス面積が狭いと、十分な作業スペースを確保できなくなる可能性があります。また、狭いオフィスにたくさんの従業員がいるような環境では、働いている人がストレスを感じやすいこともデメリットです。

さらに周囲の動きや音が気になり、仕事に集中できないこともあるでしょう。背の高いオフィス家具に囲まれている場合は、閉塞感からのストレスも感じやすくなるかもしれません。

自社に最適な広さは? コロナ禍でのオフィス面積の決め方

オフィスは広すぎず、狭すぎず、最適な広さであることが理想的です。ただし、コロナ禍においてはできる限り、机と机が近づかないようにしなくてはなりません。では、コロナ禍での最適なオフィス面積とはどのくらいなのでしょうか。1人当たりのオフィス面積の目安や、オフィス面積の決め方を紹介します。

1人当たりのオフィス面積の目安

1人当たりのオフィス面積の目安は、通常時であれば共有スペースを含めて1人3坪以上が理想的です。しかし、コロナ禍においてソーシャルディスタンスを確保するには、4坪以上は欲しいところです。

けれど、予算の都合によっては現在よりも広い面積のオフィスに移転できない場合もあるでしょう。オフィス面積を変えずに1人当たりの面積を増やすには、「積極的なテレワークの導入」と「3密を防ぐレイアウト設計」が欠かせません。例えば出社率を100%から50%に減らし、フリーアドレス形式のレイアウトにすれば、1人当たりの面積は従来の倍近く取れるでしょう。

フリーアドレスで悩んだらすぐに読みたい一冊.jpg

職種によって異なる1人当たりに必要なオフィス面積

ひと口にオフィス面積といっても、職種によって必ず広い面積を必要とするものもあれば、狭い面積でも業務に影響がない場合もあります。そこで、ここでは広い面積が必要となる職種、狭い面積でも対応可能な職種を見ていきましょう。

広い面積が必要なケース

銀行や不動産会社などのように来客が多いオフィスで、同向式レイアウトを採用している場合は広いスペースが必要です。来客用のスペース以外にも、広い執務スペースを確保する必要があるためです。同向式レイアウトの場合、対向式レイアウトやフリーアドレス式レイアウトよりも、1人当たりに必要な面積が広くなります。

また、エンジニアやクリエイティブ系の職種が多く在籍する職場では、高スペックなパソコンが置ける広いスペースが不可欠です。そのため、1人当たりのオフィス面積が広くなる傾向があります。

狭い面積でも可能なケース

営業や企画、会計部門など、対向式レイアウトやフリーアドレス式レイアウトを採用できる業種の場合は、それほど広いスペースを必要としません。特に、フリーアドレス式レイアウトを導入する場合は、全従業員分の席を確保する必要がないため、テレワークとの併用で狭い面積でも対応可能です。

以上が従来の広い面積が必要もしくは狭い面積でも作業が可能な職種ですが、コロナ禍においては必ずしもその限りではありません。前項でも説明したように、ソーシャルディスタンスを確保できる1人4坪以上を実現させるには、職種にかかわらず広いオフィス面積が必要となるでしょう。

どうしても広い面積を確保できない場合は、テレワークや時差出勤を導入し、同じ時間に大勢の社員が集まらないようにする仕組みづくりが欠かせません。また、フリーアドレスを導入する場合は、事前予約が必要なホテリングの活用がおすすめです。オフィスに出社する人数を徹底管理することで、狭い面積でもソーシャルディスタンスの確保を実現できます。

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コロナ禍では感染対策を大前提としたうえで最適な面積を見つけよう

オフィス面積は予算だけでなく、社員が効率的に業務を進められるような配慮が欠かせません。最適なオフィス面積は、1人当たり3坪以上が一般的とされていますが、コロナ禍においては、感染対策として4坪以上は確保するのが理想です。

しかし、オフィス面積を変えずに1人当たりの面積を拡大するのは難しいでしょう。そこで、ポイントはいかに効率よいレイアウト設計を行うかです。テレワークを導入し、1日の出社率を減らしながらできるだけ1人当たりの面積を増やせるようレイアウトを工夫することが、業務効率化と感染対策の両方を可能にします。

【お役立ち資料】

オフィスデザイン構築マニュアル

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マーケティング部 プラス株式会社ファニチャーカンパニー

プラス株式会社ファニチャーカンパニー マーケティング部

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